おいかけてゆく

Dec 01, 25 宇祖田都子

「雪なんてもう何年も見てないな」と言う海馬は吹雪の中に

雪国の耳を塞いでいるような静けさにしかわたしはいない

早朝を白く蹴散らす除雪車をおいかけていく耳の冷たさ

校庭の芝生の上にうっすらと雪が積もっている二時間目

公園の砂場に雪が積もるのを見ていた窓は実在しない


おいかけてゆく 「雪なんてもう何年も見てないな」と言う海馬は吹雪の中に
雪国の耳を塞いでいるような静けさにしかわたしはいない
早朝を白く蹴散らす除雪車をおいかけていく耳の冷たさ
校庭の芝生の上にうっすらと雪が積もっている二時間目
公園の砂場に雪が積もるのを見ていた窓は実在しない

宇祖田都子