湖面

Dec 01, 24 宇佐田灰加

身の内に世界のすべてを閉じ込めて光る小さな湖だった

愛されないようにだれもを愛さない 張り詰めている猛烈な凪

ほんとうの孤独の温度も知らないで指の先からほろほろ滅ぶ

心臓の鈍い痛みがうれしくてあなたではないわたしが欲しい

やわらかく世界を取り込み新しい身体のかたちで湖面を割った


湖面 身の内に世界のすべてを閉じ込めて光る小さな湖だった
愛されないようにだれもを愛さない 張り詰めている猛烈な凪
ほんとうの孤独の温度も知らないで指の先からほろほろ滅ぶ
心臓の鈍い痛みがうれしくてあなたではないわたしが欲しい
やわらかく世界を取り込み新しい身体のかたちで湖面を割った

宇佐田灰加