遺灰のように

Mar 01, 25 永井文鳥

忌避。朝のスマホ画面にふれたとき死者のひたいのようなつめたさ

墓地に立つわたしをダウンコートごと押せば空気は実体を持ち

抱きしめるみたいに風の両腕がわたしの胴に纏わせる雪

遺灰のように雪降りつづく。それでいて墓碑はくろぐろと濡れるのみ

懐古とは蛇口を止めてもホースからしばらく流れ続けゆく水


遺灰のように 忌避。朝のスマホ画面にふれたとき死者のひたいのようなつめたさ
墓地に立つわたしをダウンコートごと押せば空気は実体を持ち
抱きしめるみたいに風の両腕がわたしの胴に纏わせる雪
遺灰のように雪降りつづく。それでいて墓碑はくろぐろと濡れるのみ
懐古とは蛇口を止めてもホースからしばらく流れ続けゆく水

永井文鳥