北へ

Dec 01, 25 石川瑞希

目に見えぬものから逃げてゆくように言葉を咥えミミズクは飛ぶ

白という安全すぎる空間にパスワードめく血の一、二滴

都には夜ばかりあると男らは酒で温めた嗄れ声で

瘡蓋を剥がす力で吹きつける凍った風に返事もできず

答えなら胸ポケットに破片だけあることとする そうして北へ


北へ 目に見えぬものから逃げてゆくように言葉を咥えミミズクは飛ぶ
白という安全すぎる空間にパスワードめく血の一、二滴
都には夜ばかりあると男らは酒で温めた嗄れ声で
瘡蓋を剥がす力で吹きつける凍った風に返事もできず
答えなら胸ポケットに破片だけあることとする そうして北へ

石川瑞希